- 共感できるキャラクターを作りたい
- キャラクターの過去の作り方が知りたい
という方へ、キャラクターに共感を生む過去の作り方について『無(最高の状態)』という本から解説していきます。
良いキャラクターを作るためには、人について知る必要があります。
つまり、共感できるキャラクターを作るためには、人について科学的に証明されていることを知るということが1番早いし、確実だと思います。
今回紹介する「スキーマセラピー」では、人間の持つ歪んだ法律・判断である悪法を18個にパターン化しています。
この悪法が原因で主人公に問題が起き、変化が必要になっていくというストーリー展開が出来ます。
例えば、「孤立」という悪法を持っている人は、幼い頃の疎外体験、いじめが原因で、「自分は周囲に溶け込めない」「いつもグループの外側にいる」という感覚を与えてしまいます。
その結果、他人を完全に避ける、自分からは話しかけない、閉じたコミュニティの中でだけ威勢がいい。という行動が多くなってしまうというものが悪法です。
読んでいく内に、「これは自分に当てはまるな」や「これは友達に当てはまりそう」、「これはあのキャラクターっぽいな」など身近な人や物語のキャラクターに当てはめるとわかりやすいと思います。
1.放棄
この悪法を持つ人は、家族・友人・恋人などの親密な人たちに、どうしても全幅の信頼をおけません。
そのせいで、「どうせ私は最後はひとりになるのだ」や「今は親しげな人もすぐに消えてしまう」といった感覚につきまとわれます。
幼少期に親から十分な世話をされなかったり、入院などの理由で長期にわたって養育者と離れた人に多いです。
特徴は、いつも人間関係に不安を感じるせいで付き合い方が重く、そのせいで親しい人との仲が壊れるケースがよくあります。
「自分はいつも捨てられる」との思いが強い人も多く、人間関係が生み出す不安に耐えられずにコミュニケーションを避けたり、自分から相手との仲を壊す場合もあります。
- 親しい相手との関係にしがみつく。
- 他人をコントロールする。
- 他者が離れていくのが不安で、自分の感情や欲求を隠す。
- 見捨てられるのを恐れて、他の人といっさい関わらない。
といった行動が目立ちます。
2.不信
この悪法を持つ人は、「他人はこちらを騙すはずだ」や「人は私に噓をついたり、利用してくるはずだ」と言ったように、他者への不信を常に抱き続けます。
「いつも騙されるのは自分だ」や「いつも損をしている」、「ほとんどの人は自分のことしか考えていない」などの感覚が強く、簡単に心を開くことが出来ません。
誰にも本音を明かさないため親密な関係が結べず、親切な人には「騙そうとしているのでは?」と不安になり自分から距離を置くこともあります。
他者への警戒心が募り過ぎて、何もされていないのに相手を攻撃するケースも一般的です。
- 他者を避けて個人的なことを話そうとしない。
- いつも他人の心理を気にしている。
- 常に他人の行動を警戒する。
- 人の言葉を信じることが出来ない。
- 他人は自分を理解してくれないと感じる。
- こちらの情報を提供すると、他人に利用されると感じる。
といった心理や行動が目立ちます。
3.剥奪
この悪法を持つ人は、「自分の求める感情的なサポートを得られない」という感覚をもたらします。
特徴は、「アドバイスを求められる人がいない」、「精神的に支えられていると感じたことがない」などの気分にとらわれ、いつも「何かが欠けているような気がするが、何が欠けているのかわからない」といった気分がぬぐえません。
もっとも一般的な悪法のひとつで、子ども時代に養育者から満足なケアを与えられなかった人に多く見られます。
- 自分の感情やニーズがよくわからない。
- 家族や友人に過剰な愛情を向ける、または逆に親密な人間関係をあきらめてしまう。
- 自分の気持ちを他人と共有しない。
- 誰かにとって自分が特別な存在だと感じたことがない。
- 人生で支えになってくれた人はほとんどいない。
といった行動や感覚にとらわれます。
4.欠陥
この悪法を持つ人は、「自分には何か根本的な問題がある」や「私は劣っている」という信念をもたらします。
その背景は、幼少期の虐待・放置・拒絶が原因で生まれる傾向があります。
養育者から十分なケアを受けずに育ち、「自分に落ち度がある」や「何か悪いことをしたかもしれない」という風に感じています。
人と接する際に自意識過剰になりやすく、ミスをするたびに深い恥の感情を抱きやすいです。
脳内に絶え間ない自己嫌悪や自己批判を生み出すため、あたかも自分が無価値になったかのような感覚を生みます。
- 批判や拒絶に反応する。
- いつも批判的なパートナーを選んでしまう。
- ストレス解消のために食べ物やアルコールなどに逃げ込む。
- 人に評価されそうな状況を避ける。
- 自分のミスを知っている人との付き合いを避ける。
- 物事を完ぺきにこなそうとする。
- 親密なつながりを避けようとする。
といった行動が目立ちます。
5.孤立
この悪法を持つ人は、「自分は周囲に溶け込めない」や「いつもグループの外側にいる」、「みんな私のことを変だと思っている」という感覚を持っています。
その背景は、幼少期に引っ越しが多かったり、外見や障害のせいでいじめられたり、経済状態や宗教などの理由で周囲の家庭と明らかに異なったりと、幼い頃の疎外体験が原因になることが多いです。
- 他人を完全に避ける。
- 自分からは人に話しかけない。
- 集団の中でリラックスするためにアルコールや薬物を使う。
- 閉じたコミュニティの中だけで威勢がいい。
- 他人の世話をし過ぎて疎まれる。
といった行動が目立ちます。
6.無能
この悪法を持つ人は、「私は日常の問題に対処できない」や「自分が生きていくには他人が必要だ」といった感覚を持っています。
特徴は、「私は無能だ」と信じ込まされるため、いつまでも自分の判断が信用できません。
幼少期に自分の物事を決められなかった人に起きやすい傾向があります。
- 私には常識がないと感じる。
- 問題の発生を過剰に心配する。
- 人に助けやアドバイスを求めてばかりいる。
- 重要な仕事を先延ばしにする。トラブルが起きた時にどうすれば良いのかわからない。
- 自分の人生をコントロールできていないように感じる。
といった行動や感覚が目立ちます。
7.脆弱(ぜいじゃく)
この悪法を持つ人は、「何か悪いことが起きるのではないか……」という恐怖を持っています。
「私は病気ではないか?」や「地震ですべてを失うのではないか?」などの不安につきまとわれ、何のリスクがなくても、あらゆる場所に危険を見出そうとします。
心配性または過保護な両親のもとで育った場合に生じやすく、不安障害やうつ病の原因になります。
- 世界は危険な場所だと感じている。
- 思考がハイスピードで駆け巡っているように感じる。
- 世の中で起きた悪いことが気になる。
- 全財産を失う心配が強い。
- 思考をコントロールできないストレスで眠れない。
- 健康に不安があるとインターネットで症状を調べ続けてしまう。
- 安心するために、何度も他人に意見を求めてしまう。
といった行動や感覚にとらわれがちです。
8.未分
この悪法を持つ人は、他者のニーズや感情にばかり目が行き、自らのことがおろそかになってしまいます。
他人が落ち込むと自分も落ち込み、相手が喜べば自分も喜び、相手の失敗にも自分が失敗したかのような感覚を抱きます。
本人の感情が常に他人の支配下に置かれるため、「人生が自分のものではないように感じる」や「人生が空虚で満たされていない感覚が強い」といった問題を抱えやすく、両親や親友にも息苦しさを覚えることが珍しくありません。
ナルシストな両親のもとで育った人によく見られます。
- ひとりで過ごすのが苦手。
- 両親やパートナーが不幸だと自分も不幸になる。
- 空虚さを紛らわすために酒や刺激物を大量に摂取する。
- 急に両親や親友に激怒することがある。
といった行動や感覚にとらわれがちです。
9.失敗
この悪法を持つ人は、あなたの中に「私は仲間よりも失敗している」や「自分の能力に全く自信が持てない」といった感覚を持っています。
キャリア、人間関係、金銭事情、生活全般など、人生のあらゆる分野について「私は失敗者だ」と深く感じてしまうため、絶望感や抑うつ感を抱きやすくなります。
子どもの頃に親や周囲から努力を嘲笑された人や、何らかのチャレンジを批判された人に多いです。
- 何かに挑戦することを避ける。
- 仕事を先延ばしにする。
- 自分を追い込んでワーカホリックになる。
- 今の人生が恥ずかしいと思う。
- まわりの人が自分より能力があるように感じる。
といった行動や感覚にとらわれがちです。
10.尊大
この悪法を持つ人は、自分は他の人よりも優秀だと信じ、特別な権利を得る資格があると感じます。
自分の欲求を満たすためだけに他人を支配するケースが多く、極度の競争心、利己的な行為、ルールの無視といった行動をとりやすいです。
ただし、一方では根本的な自信のなさや恥の感覚を抱いていることがあり、批判へ過度に反応する面もあります。
子ども時代に過剰に甘やかされた人に多いです。
11.放縦
この悪法を持つ人は、新しいアイデアや計画に夢中になっても、始めた途端に興味を失ってしまう。集中力を維持するのが難しく、すぐ別のことに意識が向いてしまう。そんな人に多いのがこの悪法です。
他の悪法と違って中核の信念や思考があるわけではなく、脳の前頭前野の働きが弱いせいで自制心がうまく発揮できないのが大きな原因のひとつです。
前頭前野は感情の管理や計画の実行をつかさどる脳のブレーキシステムとも呼ばれるエリアです。
この機能が低下する理由は複雑で、子どもの頃に忍耐を教えられなかったケースや、生後の数年で両親から育児放棄を受けたケース、幼少から青年期にかけて長期に渡ってストレスを体験したケースなど多岐にわたります。
- 飲酒・喫煙・過食などの自滅的な行動がやめられない。
- 不快な感情を耐えるのが苦手。
- エネルギーがあり過ぎて生産的なことに使うのが難しいと感じる。
- あとで後悔するような決断をすぐにしてしまう。
といった行動や感覚にとらわれがちです。
12.服従
この悪法を持つ人は、自分の意見を言うのが苦手で、怒りや苦しみを抱いても表に出さない。という傾向が強いです。
ストレスが多い家庭で成長した人が抱きがちな悪法で、幼少期に「何も発言しない方が安全だ」といった刷り込みを受けた可能性があります。
自分の感情を溜め込むため、「他人に利用されている」や「私は見下されている」などの感覚が強く、他者とのつながりを求める気持ちが満たされません。
- メンタルが傷ついても他人には言わない。
- 争いや拒絶を避けるために喜ばせることが多い。
- 相手の電話に出ない。
- 他人を無視する。
- 頼まれた仕事を中途半端に終わらせるなど、受動的な方法で他者を攻撃する。
といった行動が目立ちます。
13.犠牲
この悪法を持つ人は、「頼まれたことは断れない」や「苦しんでいる人を見るのがつらい」、「他人より自分を優先するのは利己的だ」といった感覚を生みます。
人助けや寛大な行動につながるため、表向きはよい法律のように思えますが、その裏側では自分の感情や幸福を犠牲にしているため、疲労感や空虚感、憤りが少しずつ蓄積されます。
情緒不安や依存症などを抱えた両親に育てられたり、子ども時代に兄弟や親の面倒をみなければならなかったりした人が抱えやすい悪法で、脳内に「自分よりも他人を優先しなければならない」という条文が書き込まれた状態です。
- 他人に助けやアドバイスを求められることが多い。
- 親しい人に頼まれたら断れない。
- 他人に与えるものが見返りよりも多い。
- 人が苦労するよりも自分がやった方が楽だ。
- 人助けのせいで疲れや消耗を感じる。
- 自分のことは誰も助けてくれず、そのせいで過小評価されていると感じる。
といった行動や感覚にとらわれがちです。
14.承認
この悪法を持つ人は、他人からの注目を過度に重んじります。
人に好かれたい気持ちは自然なものですが、他人に好かれるための努力に時間とエネルギーを使い過ぎ、自分の感情や欲求を完全に無視してしまいます。
子どもの頃に人生の進路を親に左右されていた。親をよろこばせたときにだけ愛情や関心を得ることが出来た。世間体や他人の視線を重視する家庭で育った。そんな人に起こりがちです。
モチベーションが周囲の反応に左右されるため、好きでもない仕事をしたり、表面的な人間関係しか築けなかったり、「他人によく見えるから」という理由で趣味を始めたりしますが、いっこうに充実感を得られません。
- 人にどう思われているかが気になる。
- 一緒にいる相手によって行動や話し方を変える。
- 地位、外見、金銭、業績へのこだわりが強い。
- 誰かを怒らせたのではないかと心配になる。
- 自分の身体や髪型、服装、持ち物への執着が強い。
- 他の人と一緒にいるときにリラックスできない。
- 意見が違う人に感情的になりやすい。
といった条件に当てはまります。
15.悲観
この悪法を持つ人は、人生の否定的な側面ばかりに目を向け、ポジティブな側面を無視します。
「何か悪いことが起こるだろう」や「たいていのことはうまくいかない」といった感覚につきまとわれ、心配と不安が頭から離れません。
楽観的な人を見ると「現実を見ていない」と思いますが、一方ではうらやましい気持ちも抱きます。そのせいで脳が常にストレス反応を発し、体調を崩す人も少なくありません。
- 友人から悲観的だとよく言われる。
- 人生の暗黒面についてよく考える。
- 間違った選択をすると大惨事になりかねないので意思決定がとても難しい。
- 人生の悲劇を避けるために、事前の計画を徹底する。
- がっかりしたくないので、いつも最悪の事態を想定する。
といった行動が目立ちます。
16.抑制
この悪法を持つ人は、「感情を表現するのは恥ずかしい」や「怒りを爆発させると、自分をコントロールできなくなるのではないか」などと考え、行動と感情を抑えつけてしまうパターンです。
他人からは理性的なように見られがちですが、その奥では自分の内面を知られるのを恐れ、生きている実感を持てません。
幼少期に周囲から怒りや悲しみを笑われたり、両親から淡々とふるまうように育てられた人に起きやすい傾向があります。
- 他人から堅苦しいと思われている。
- 他人の感情を知るのが苦手。
- 弱みを表現できない。
- ポジティブな感情も抑えてしまう。
- 合理性を過度に重視する。
- 人前で自由に感情を表現できる人を見ると不快になる。
といった行動や感覚にとらわれがちです。
17.完璧
この悪法を持つ人は、批判を避けるために高い基準を設定し、それを満たすような努力をしなければならない。という感覚をもたらします。
「完璧を目指さねば」や「徹底的にやり込まなければ」といった思考のせいで常にプレッシャーを感じ、心が休まる時間がほとんどありません。
批判的な家庭で育った人に多く、頑張っても褒められない体験が積み重なったせいで、「自分はもっとうまくやれるはずだ」という感覚が脳に刷り込まれるパターンが定番です。
- 社会的には成功したのに満足感が得られない。
- いつも時間が足りないと感じる。
- 気分転換が苦手で、酒やタバコの力を借りる。
- 常に何かしなければならないと感じる。
- 望んだ基準を達成できないと恥を感じる。
といった行動や感覚にとらわれがちです。
18.懲罰
この悪法を持つ人は、「過ちを犯した人は厳しく罰せられるべきだ」という信念を生み出します。
基準を満たさないものに対して怒りや焦燥感を抱きやすく、間違った人を容赦なく責め立て、厳しい批判を展開します。
批判の対象は自分にも向けられ、仕事でミスをすると激しい自責の念にとらわれ、自傷行為におよぶケースも一般的です。
人間の不完全さを許せず、他人との関係もうまくいきません。
- 間違いを犯した人は責任を負って罰を受けるべきだ。
- 悪いことをしたのに許された人を見ると腹が立つ。
- 自分と他人を許すことができず、いつまでも恨みを持つ。
- 他人が犯したも違いをつい考えてしまう。
- 仕事がうまくいかないなら苦しみを感じるべきだと思う。
- 他人からは批判的で判断力があると言われる。
といった行動や感覚にとらわれがちです。
まとめ
この無(最高の状態)という本では、「人間はなぜ苦しみをこじらせてしまうのか」について人間のメカニズムから解説しています。
なぜネガティブな感情が生まれるのかを知り、それを克服する方法について知ることが出来ます。
仕事でうまくパフォーマンスを発揮したい方や、ネガティブな感情をうまくコントロールできるようになりたいという方へおすすめな本です!
おまけ
今回紹介した悪法のパターンとこの本を参考にすることで、ストーリー構成が作りやすくなると思います。
この悪法を「嘘」と設定し、ストーリー構成を作っていくというキャラクターアーク(登場人物の変化の軌跡)について書かれていてすごくわかりやすく、おすすめです!
キャラクターに焦点を当てている珍しい本で、今回紹介した悪法(嘘)をどのように、どのタイミングで使うかについて書かれているので、この本も併せて是非読んでみてください!!
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