【要約】運動ほど地頭が良くなる方法はない【運動脳】

健康

この知識はこんな方におすすめ

  • 頭の良い人になりたい
  • 高いパフォーマンスを発揮したい

みなさんは、何のために運動しますか?

正直僕は、「運動なんてダイエットのためか、おじいちゃんおばあちゃんが健康のためにやっているもの」という認識でした。
何なら運動の意味なんて考えたこともなかったです。

では、運動は何のためにやるのでしょうか。
それは、脳を鍛えるためです。
頭を良くするには、脳トレでもサプリメントでもなく、「身体を動かすこと」です。

下のリストはすべて科学的根拠があり、運動をすることによって得ることのできる効果です。

  • 不安や緊張などのストレスに強くなる(食欲を抑えられる)
  • 集中力の向上
  • うつの改善・モチベーションの向上
  • 記憶力の向上
  • 創造性の向上
  • 学力の向上
  • 脳の老化を抑える(認知症予防)

僕はこれを知った時に、「もっと早く教えてくれれば良かったのに。なんで学校で教えてくれなかったんだ。」と思いました。

では、なぜこの知識は広まっていないのでしょうか。
それは、ビジネスにつながらないからです。
世の中には、集中力が上がるサプリメントや頭が良くなる脳トレ、うつ病に効く抗うつ剤などがあり、使ったことがある人もいると思います。

しかし、これらは運動ですべて解決すると言っても、お金になりません。
サプリメントや脳トレには効果がないことが科学的にわかっていて、抗うつ剤には副作用があります。
運動にはリスクがなく、お金もかかりません。
でも、ビジネスにつながらないために一般的に知られていないのです。

この事実を知ったあなたは本当にラッキーです。
僕は運動が脳に良いことを知り、平日の5日間運動することを継続しています。
これを機に一緒に運動しましょう!

とはいえ、「なぜ運動がこんなにもメリットがあるのか」がわからないと、モチベーションも湧かないと思うので、その理由をひとつずつ見ていきたいと思います。
この事実を多くの人に知ってほしいと思い、しっかりと書こうと気合が入り過ぎたため、全体的に長くなってしまいました。
そのため、目次の気になるところから順番に見ることをおすすめします。

脳から「ストレス」を取り払う

まず、多くの現代人が悩ませている「ストレス」についてです。
運動することでなぜストレスに強くなれるのでしょうか。
専門的な詳しい理由は本に書いてありますが、ここでは簡単に説明します。
理由は2つあります。

1つ目は、筋肉にはストレスから脳を守る機能があるということです。
筋肉にはストレス物質を無害化してくれる効果があります。

2つ目は、運動することで心拍数や血圧が上がってもそれは不安やパニックの前触れではなく、良い気分をもたらしてくれるものだと脳に教え込むことが出来るからです。

例えばジョギングをしたとき、心拍数や血圧が上がり、ジョギング後はすっきりした気分になると思います。この心拍数や血圧が上がるのは、不安や緊張などのストレスにさらされた時と同じです。

しかし、運動をすることで「この心拍数と血圧が上がっているのは、ジョギング後のように良い気分をもたらしてくれるものだ」と脳に教え込むことで、不安や緊張を取り払うことが出来るのです。

つまり、「心拍数が上がる=危険」という解釈を脳がするから、頭が真っ白になるなどのパニックを起こしてしまうのです。
運動することで心拍数を上げて、脳にストレスに晒された時の「予行演習」をさせることが出来ます。

「食べないとやってられない!」暴飲暴食の原因とは

ストレスに強くなることで、食欲を抑えることが出来ます。
食欲が増し、腹部に脂肪が溜まる理由として、「コルチゾール」というストレス物質が影響しています。
コルチゾールには、身体の脂肪の燃焼を妨げる作用があり、さらに食欲が増す作用もあります。

ストレスを感じる嫌なことがあった時に、暴飲暴食をしてしまったという経験に心当たりがある人も多いと思います。
運動をすることで、その間はコルチゾールの分泌量は増え、運動後は下がります。
それは体に負荷がかかる活動は一種のストレスだからです。
運動を繰り返して習慣にすることで、運動時のコルチゾールの分泌量は次第に増えにくくなり、運動後の下がる量は逆に増えていきます。

つまり、運動することで、ストレスに対する抵抗力が高まります。
そのため、コルチゾールの分泌量を抑えることができて、食欲も抑えられるのです。

具体的な運動の目安は、心拍数を増やす必要があるためランニングやスイミングなどの有酸素運動がおすすめです。
週に少なくとも2・3回を20分は続けてみましょう。
余裕があれば30~45分が望ましいです。
散歩に出かけるだけでもランニングの時ほどではないですが、ストレスを抑える効果はあるので、試してみてください。

「集中力」を取り戻せ!

「人類の歴史が始まってから2003年までの分量に相当する情報が、わずか2日で生み出されている。」
私たちはパソコンやスマホから続々と送り出される情報の波に押されながら暮らしています。
このような環境にあれば、ひとつのことに集中できないのも当然であり、何かしらの対策が必要です。

そこで「運動をすることで集中力を取り戻そう」ということです。
では、なぜ運動をすることで、集中力が高まるのでしょうか。
結論から言うと、運動することで、脳はそれが生死を分けるほどの重要な行動だと解釈するからです。

これは、私たちの祖先がサバンナで暮らしていたことを考えるとわかります。
私たちは気分をリフレッシュさせるため、健康のため、ダイエットのために走る人が多いと思います。

しかし私たちの祖先は、食料を手に入れるため・危険を避けるために走ります。
そして、注意を怠ることは命取りになります。
背後にライオンが忍び寄ってきたとき、また獲物を仕留めようと構えているときに、ミスは許されません。
生存の可能性は、脳が集中力を高めることによって増えるといえます。

つまり、身体に負荷を与えることで、脳はそれが生死を分けるほどの重要な行動だと解釈するのです。
その結果、集中力が高まります。

生物学的には、私たちの脳と身体は今もサバンナにいます。
私たちの祖先がサバンナで暮らしていた頃と脳と身体はほとんど変わっていません。
私たちの生活様式が変わっただけで、この脳の解釈は私たちにも当てはまるのです。

ちなみに、簡単に脳内ではどうなっているか説明すると、運動をすることで脳内に「ドーパミン」という神経伝達物質が放出されます。
「ドーパミン」は、集中力を高めるために重要で、周囲の雑音を消す役割などを果たしてくれます。
運動すると心地よい気分になるのは、「ドーパミン」は報酬の役割も果たしているのです。

理想的な心拍数の目安があります。
それは、最大心拍数(220から年齢を引いた数字)の70~75%です。
例えば、40代であれば1分あたり130~140回が目標です。
少なくとも20分は続けたいですが、可能であれば30分の方が充分な効果が期待できます。

そして重要なのが、「朝」に運動をすることです。
一般的に集中力が必要なのは昼間だからです。
効果が定着するには時間がかかるので、運動を習慣にしましょう。

うつ・モチベーションの科学

実は、すべての人の脳は少しずつ縮んでいます。
25歳ごろから、1年で約0.5%ずつ小さくなっており、うつ病になると、このスピードが加速するのです。

うつ病やモチベーションの低下は最新の研究によると、脳細胞が十分につくられないために引き起こされるといいます。
要は新しい脳細胞を増やすために、脳細胞がほかの物質によって傷ついたり死んだりしないように保護する必要があるのです。

そこで、科学が奇跡と呼ぶ物質である「BDNF」がこの役割を果たしてくれます。
BDNFは、脳細胞を守っている以外にも、新たに生まれた細胞を助け、初期段階にある細胞の生存や成長を促す役割もあります。
さらに、脳の細胞間のつながりを強化し、学習や記憶の力を高め、細胞の老化を遅らせる働きもしています。

「BDNFを増やすには、運動ほど効果的なものはない。」
とこの本で主張しています。

BDNFを増やすには、有酸素運動が効果的で、筋力トレーニングでは同じ効果が得られないといわれています。
BDNFを大量に増やしたければ、インターバル・トレーニングのように負荷の大きい運動が効果的です。

運動を定期的に行った人に関する面白い研究があります。
週に2回以上の運動を行っている人は、より社交的で、神経質な面が少なかったという結果が出ています。
運動を定期的にすることで、少しではありますが、性格にまで影響をおよぼしてしまうのです。

運動の目安は、30~40分のランニングを週に3回行うことです。
そして運動の強度は、最大酸素摂取量が少なくとも70%になるようにしたいです。
具体的には息が少し切れるペースで、「ややキツイ」と感じるくらいです。
運動後の脈拍数の目安として、20~30代=140、40~50代=130、60代~=110~120です。
この運動を3週間以上続けることを目標にしてください。

「記憶力」を極限まで高める

くり返しになりますが、脳は1年で約0.5%ずつ縮んでおり、脳の大きさは25歳ごろがピークです。
具体的には一日に約10万個の細胞が失われています。
思ったよりも多く、焦りや恐怖を感じた人も多いのではないでしょうか。
しかし、まだ間に合います。

記憶の中枢である海馬は1年で約1%縮むのですが、週に3回・40分早足で歩いただけで、縮むどころか2%ほど大きくなっていたという研究があります。
この理由は、先ほど出てきた「BDNF」が増えたことにより、脳細胞が新しく生まれたからです。
さらにBDNFにより、脳の細胞間のつながりが強化されたことで、記憶力を高めることが出来ます。

ここで疑問を持った方もいるかもしれません。
そもそも、なぜ運動することで記憶力を高めることが出来るのでしょうか。

これは集中力が高まる仕組みと同じです。
祖先にとって動き回ることは「新しい住み処や環境を探すこと」です。
座ってばかりいると脳は「新しい体験をしていない」と解釈して、記憶力を高める必要がないと考えるのです。

詳しくは後に出てくる「最も動く祖先が生き残った」で解説しています。
気になった方はぜひ読んでみてください!

暗記力を最大限まで高める方法

暗記力を最大限にまで高めようと思ったら、「運動と暗記を同時にやる」ことです。
歩きながら本を読んだり勉強することで、脳の血流が良くなり、記憶力を高めることが出来ます。
僕も本を読むとき、歩きながら読んだり、ステッパーを踏みながら読んでいます。

具体的なトレーニング方法として、有酸素運動と筋力トレーニングの両方を取り入れた方が良いです。
理由は記憶の種類によっては、筋力トレーニングの方が効果的な場合があります。
たとえば、顔と名前を一致させるといった関連性を想起する「連想記憶力」などは筋力トレーニングの方が効果的だからです。

そして重要なことは、過酷な運動はかえって逆効果になってしまうという点です。
疲労を覚えるほど運動すると、筋肉がさらに血液を必要とします。
そのため、脳に流れる血液の量が減り、記憶力が下がってしまうのです。

「記憶力と体力は比例している」という研究結果があります。
そして効果が最も上がるのは、トレーニングしてから1日から数日後です。
結論として記憶力を高めるには、運動を習慣づけることが必要です。

頭のなかから「アイデア」を取り出す

アイデアが必要な仕事として、まず挙げるのは作家と答える人も多いと思います。
実際にこの本で紹介されていますが、作家の村上春樹さんも『走ることについて語るときに僕の語ること』という本で、運動の大切さについて語っています。
村上さんの作品執筆中の習慣はこのようなものです。

作品の執筆中は毎朝4時に起床し、午前10時まで仕事をする。昼食を取ったのちに10キロのランニングを行い、それから水泳をする。そのあとは音楽を聴いたり、読書をしたりして過ごす。そして夜の9時ごろには就寝する。

1つの作品を書き上げるまでの半年間、毎日こうした生活を送っているそうです。
他にも作家・ミュージシャン・俳優・アーティスト・科学者・起業家など多くのプロフェッショナルたちが創造性を高めるために運動していると口を揃えています。

運動をすることで、アイデアがたくさん出るようになる仕組みはどのようなものなのでしょうか。
具体的な仕組みはまだ解明されていませんが、この本ではこのような科学的な説明がされています。

脳の中心部には、視床と呼ばれる必要な情報とそうでない情報を分けるフィルターがあります。
例えるなら、秘書が上司が出席すべき会議と出席しなくていい会議を選別するといったものです。
この機能が正常に働くためには、集中力が高まる仕組みで出た「ドーパミン」が必要です。

簡単に言うと、運動をすることで、ドーパミンのシステムが調整されます。
すると、情報量が適切に制御され、創造性が増すのです。
しかし、創造性を高める要素は決してひとつではなく、そのなかで何より効果を発揮するものが運動です。

運動の目安は、ウォーキングにも効果はありますが、ランニングの方が効果は大きいです。
20~30分走ることが目標です。
しかし、疲れきるまで走ってしまうと、逆にその後数時間は創造性が衰えてしまうので注意です。
もうひとつ重要なポイントは、「運動後の創造性の高まりは長続きしないということ」です。
2時間ほど続くといわれています。
運動するタイミングにも気をつけましょう。

「学力」を伸ばす

今までは、大人向けにどれほど運動が脳に良いかについて解説してきました。
もちろん運動は子どもにも効果があり、18歳時の体力で学歴・収入・病歴の傾向が決まるという研究結果が出ています。

たったの4分の運動を一度するだけでも集中力と注意力が改善され、10歳の子どもが気を散らすことなく物事に取り組めるようになったという研究があります。
この研究からわかるように、少しでも運動した方が子どものためになります。
「勉強しなさい!」と注意するより、「運動しなさい!」と注意する方が科学的には正しいというわけですね。
まだ詳しくはわかっていませんが、多くの研究データによると、小学生が最も運動の恩恵を得られるようです。

これは最初に言いましたが、運動にこんなにもメリットがあることは一般的に知られていません。
それはビジネスにならない、つまり運動はお金にならないことが理由です。

ここまで聞いて、「できすぎじゃない?」と怪しんだ人もいると思います。
これに対して筆者はこう言っています。

「身体をよく動かせば、ちょうど筋力トレーニングで筋肉が鍛えられるように、灰白質と白質の働きが強化される。したがって運動をすれば、子どもでも大人でも知能が高くなる。嘘のような話だが、これは正真正銘の事実だ。だとすれば、今すぐ子どもたちに言おう。タブレット端末やスマホを置いて、もっと身体を動かそう、と。わが子の頭がよくなることを願わない親などいないはずだ。」

僕はまだ22歳で、親の気持ちを伝えにくいと思ったので、そのまま引用しました。
逆に子どもの立場からすると、運動をすれば頭が良くなると言っても、わかりにくいと思うので、親子で一緒に運動する習慣を身につけることが1番わが子のためにできることだと思います。

ポイントは「心拍数を増やすこと」です。
できれば脈拍を1分間に150回前後まで上げることが目安です。
活動は必ずしも運動でなくてもいいです。
体を動かして遊ぶだけでも効果があります。
何より大切なのは、何をして体を動かすのではなく、とにかく体を動かすことです。

健康脳

加齢による脳の萎縮の進み具合はカロリー消費量と密接にかかわっていることがわかっています。
つまりよく動いている人は、脳の萎縮の進行が遅く、脳の老化を止めることが出来るのです。

とは言っても、これを知って「運動しよう!」とはならないと思います。
そこで衝撃の研究結果を紹介します。
実は、人類の3人に1人は脳の老化を早める遺伝子を持っている可能性があります。

「パイロットの加齢による飛行技術の変化」を調べた研究によると、調査を始めて数年が経つと、パイロットの技能が年々落ちていることがわかってきました。
これは脳が老化することを考えれば当然です。

しかし、そのなかに他のパイロットの2倍の速さで技能が低下している人たちがいました。
そのパイロットたちの遺伝子を調べたところ、遺伝子が変異していることがわかったのです。
さらに、この変異が見られないパイロットに比べて、記憶の中枢である海馬の萎縮の進み具合も速かったです。
この変異型の遺伝子は、144名中の3分の1に見られました。

全人口に置き換えても、同じ割合でこの遺伝子を持っている可能性があります。
つまり、人類の3分の1が脳の老化や海馬の萎縮を早め、知的能力の衰えを促す遺伝子を持っているかもしれないのです。
この遺伝子の影響を阻止する方法は、運動です。
さっきよりもモチベーションが上がったのではないでしょうか。

残念ながら、生まれ持った遺伝子そのものを変えることが出来ません。
しかし運動をすることで、知性が衰えないためのコンディションを保つことが出来ます。
特に、インターバル・トレーニングのように負荷の大きい運動が効果があるといわれています。

僕の場合は、HIITというインターバル・トレーニングをしています。
タバタ式トレーニングとも呼び、20秒全力で動いて10秒休むというトレーニングを4分間やるといったものです。
負荷が大きく大変ですが、その分効果も大きいので、ぜひ試してみてください!

週5日意識的に歩くと認知症の発症率を40%減らせる

脳の老化に関連して、「認知症」の予防について紹介します。
認知症は、日本では65歳以上の5.4人に1人が認知症患者です。
世界では7秒に1人の割合で新たに診断が下されており、このままいけば2050年までに、患者は1億5000万人に増える計算になります。

これは無視できない数字だと思います。
認知症予防に関して、面白い研究結果があります。
「週5日意識的に歩くと認知症の発症率を40%減らせる」ことがわかりました。
これもビジネスにならないため、一般的に知られていません。

なぜ歩くことが認知症を防ぐことにつながるかというと、運動することで脳の環境を最良の状態に保つことが出来るからです。
詳しい仕組みは本を読むとわかるのですが、簡単に言うと認知症を防ぐには、血圧・血糖値・体内の炎症の3つを安定させなくてなりません。
これらは運動することで、良い状態に保つことが出来るというわけです。

では、具体的に認知症になるリスクを減らすための方法を紹介します。
研究では、ウォーキングか軽いジョギングを週にトータルで150分、できれば30分ずつ週に5回行うのが望ましいです。
または20分のランニングを週に3回行っても、同じ効果があります。
ちなみに、筋力トレーニングが認知症の予防になるかどうかはまだ研究途中であり、立証されていません。

最も動く祖先が生き残った

ここからは、私たちがほかの種をしのぐほどの知性をどのように身につけたのかについての話です。
なぜ私たちにとって運動することが重要なのかがわかる興味深い話なので、是非最後まで読んでみてください。

ヒトの脳の大きさは、最も近い種であるチンパンジーの脳の約3倍です。
チンパンジーの脳は、600万年前に私たちと枝分かれして以来、足踏み状態にあります。
つまり、チンパンジーと枝分かれして以来、ヒトの脳は3倍も大きくなったのです。

どうしてヒトは、他の種をしのぐほどの知性を身に着けられたのでしょうか。
その答えは、多くの科学者が「遺伝子にある」と考えています。

遠い祖先の時代に、遺伝子が複製される段階で何らかのミスが生じ、完全に同じものではなく一部が欠けたものが複製されてしまったといいます。
この不完全な遺伝子が「ARHGAP11B」と呼び、人類の大脳皮質の発達を促しました。

脳が大きくなったのはこの遺伝子だとなぜいいきれるのかを調べた研究があります。
研究チームはマウスの脳に「ARHGAP11B」を導入したときどのような変化が起きるかという実験を行いました。
マウスは身体の大きさに比べて大脳皮質が小さく、表層にはしわがないのが特徴です。

しかし結果は、この遺伝子を導入されたマウスたちの脳は、成長して大きくなっており、さらに大脳皮質にしわができたマウスもいたといいます。
つまり、私たちの脳の形状に近くなっていたのです。

脳の最も重要な仕事は「移動」

基本的には、移動する生物だけに脳があります。
そのため、植物には脳がありません。

初めてこの世に脳細胞が出現したのはおよそ6億年前で、主な機能は原始的な生物の動きを制御することだったと考えられています。
つまり、脳細胞の最も大切な仕事は、その生物を移動」させることだといえます。

移動距離と脳の大きさは比例するという面白い研究結果があります。
ある研究チームが様々な動物の脳の容積を調べてみたところ、高い持久力を有する動物、つまり遠くまで走ることが出来る動物の脳は大きいことがわかりました。
人間と同じく持久力のあるイヌやラットも体重と比べて脳が大きいです。

これはおそらく運動によって生成される「BDNF」が脳を成長させ、脳細胞の新生を加速させた結果だと思われます。
私たちの祖先のなかで最もよく活動した者が、食料を豊富に調達して絶滅から逃れ、遺伝子を残すことが出来ました。
そして、活発に動くことでBDNFが生成され、脳が大きくなります。

こうして脳は、身体活動によって進化し、発達してきたのです。
私たちが知性を手に入れた大きな要因と言えます。

多くの現代人が心や身体を病んでしまう理由

脳の最も重要な仕事は移動であり、活発に動くことによって脳が発達してきたのだとすると、もし身体を動かさなかったら、脳が影響を受けないはずがありません。

現代では、原始時代に比べて活動量は少なくとも半分に減ったという研究結果があります。
なんなら、わざわざ動かなくてもインターネットで注文すれば玄関先まで届けてもらえる時代です。

私たちがランニングやウォーキングをすると、脳は食べ物や新しい住み処を探していたのだと解釈し、報酬として多幸感を与えてくれます。
幸せな気分になれるのは、生存の可能性を増やす行為をした時だけです。
そう考えると、座りがちでいると調子が悪くなる「お仕置き」がされることも納得がいきます。

1日中座ってばかりいれば獲物は捕まえられず、新しい住み処も見つからない。
座ってばかりいると生き残れない。
つまり、多くの現代人が心や身体を病んでしまう理由は、「脳と私たちの環境の矛盾」にあるのです。

こうして考えると運動によって集中力が高まるのも、祖先が狩りをするときに集中力を保つことが必須だったからです。
座ってばかりいて動かないと、脳は新しい体験をしていないと解釈して、記憶力を高める必要はないと考えるのも理解できると思います。

運動脳マニュアル

脳を鍛えるためにはどのような運動をした方が良いのかについての具体的なトレーニング方法について紹介します。

まず重要なこととして、たとえわずかな1歩でも脳のためになるということです。
もちろん5分より30分の方がいいですが、5分でも全く価値がないわけではありません。
普段運動の習慣がない人は、5分でもいいので自分が楽しいと思える活動から始めてみましょう。

より高い効果が欲しい人は、最低30分のウォーキングを目指しましょう。
そして、脳のための最高のコンディションを保ちたい人は、ランニングを週に3回45分以上行いましょう。
ポイントは「心拍数を増やすこと」です。
筋力トレーニングも効果がありますが、どちらかといえば有酸素運動中心の方がメリットが大きいです。

また、タイミングも重要です。
集中力を高めるには、「朝」運動することです。
そして運動後の創造性の高まりは、2時間ほどしか続かないので、運動のタイミングも意識することをおすすめします。

僕の場合は、HIIT(タバタ式トレーニング)と呼ばれるインターバル・トレーニングをやっています。
インターバル・トレーニングの場合は、負荷が大きく、疲労が激しいため即効性は乏しいといえます。
しかし、長期的にみると脳のためになると考えられます。
そのため習慣にできれば心強いが、ハードルが高いトレーニングというわけです。

トレーニング方法に関して個人的な意見としては、3年前くらいからHIITに取り組んでいますが、最初からこのトレーニングに取り組んだため、うまく続きませんでした。
やらない日が続くたびに、「だめだな自分」のように自分をせめてしまって、なおさらやる気がなくなるということが続きました。

そのため運動を始めるときは、寝不足のときややる気が起きない時でも続けられる範囲の運動から始めるといいと思います。
習慣にするということは、やる気がある時もない時も続けるということなので、やる気がないを想定しておくと、「今日は出来なかった」ということが起きにくいのではないかと思います。

脳が再構築されて構造が変化するには時間がかかります。
筆者は、「根気よく続ける必要があり、週に数回の運動を半年ほど続ければ、実感できるだろう」と主張しています。

まずはそこまで頑張って続けてみましょう!
運動にこんなにもメリットがあることが一般的に知られていない今がチャンスです。
僕と一緒に運動しましょう!

まとめ

運動はどうしても軽視されがちで、真剣に取り組んでいる人は少ないと思います。
運動には人生を変える力があることを多くの人は知りません。
本当にこの知識を知ってよかったなと思います。

こういう本に出会うと、「読書っていいな、楽しいな」って思える瞬間でもあります。
これからもたくさんの本を読んでいきたいです!
今回の記事で結構詳しく書きましたが、まだまだ本の方が詳しく書かれているので、ぜひ本も読んでいただけると嬉しいです!

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