- ストーリーがうまく書けない
- シナリオ初心者がどの本を読んだら良いかわからない
という方に対して、今回はストーリーを作るうえで、最低限意識した方が良い点を本の内容を抜粋して解説していきたいと思います
原始人でもわかるか?
この本で一番重要視されている言葉は「原始的」です。
「ストーリーを作るうえで、根底には原始的で本能的なものがなければならない」と言っています。
これはなぜかというと、原始的なものは世界中の観客が共感することが出来るため、ヒットする可能性が高くなります。
例えば、原始的なこととは、生き残る、飢えをしのぐ、セックス、愛する人を守る、死に対する恐怖が根底にあることで、主人公の行動や起きる出来事は1本の線でつながり、一貫性が生まれます。
そのため、なぜこの行動をしたのかわからないという状態になりにくくなり、主人公に共感することが出来ます。
BS2について
BS2とはブレイク・スナイダー・ビート・シートのことで、筆者が独自のストーリー構成用のテンプレートです。カッコ内の数字は110分映画の時の何枚目かを示す数字です(1枚1分)
- オープニングイメージ(1)
- スタート地点
- テーマの提示(5)
- 主人公がこの先学ぶテーマの提示
- セットアップ(1~10)
- メインストーリーのキャラクター紹介
- 直すべき6つのこと…モチーフ、伏線、災いなどで見せる
- きっかけ(12)
- 世界が壊れる、変化
- 悩みのとき(12~25)
- 変化の前のためらい、疑問に答えを出す→主人公が前に進める
- 第1ターニング・ポイント(25)
- 古い世界から出て正反対の世界へ進む瞬間
- 本当の物語の始まり
- サブプロット(Bストーリー)(30)
- 恋人、師、相棒から必要なもの(テーマ)を得る
- お楽しみ(30~55)
- 作品の核心部
- 予告編でよく使われるシーン
- ミッド・ポイント(55)
- もう後戻りできない地点、絶好調か絶不調になる
- 迫りくる悪い奴ら(55~75)
- 敵が再び体制を整えてやってくる
- ミッドポイントと対になる
- すべてを失って(75)
- 死の気配
- スタート地点よりも状況が悪化する
- 心の暗闇(75~85)
- 現実を知る、共感できるシーン
- 第2ターニング・ポイント(85)
- メインプロット(Aストーリー)とサブプロット(Bストーリー)が交錯し、解決策が見つかる
- フィナーレ(85~110)
- 主人公の勝利、新しい世界
- ファイナル・イメージ(110)
- スタート地点と対になる
だいたいのながれをまとめると、
オープニング→本当の物語の始まり→必要なものを得る→後戻りできなくなる→最初より状況が悪化(死の気配)→今までのヒントから解決策が見つかる→主人公の勝利→オープニングと対になる
というながれになります。
この本を読んだときに1番印象に残ったのは、すべてを失っての死の気配です。
この死の気配とは指導者や師が死ぬことが多いです。
しかし、無縁の作品の場合でも、死を象徴するシーンがあります。
例えば、枯れた植木鉢の花、金魚の死、葬式などのシーンです。
これを知ったときに感じたのは、人気の作品にはこの死の気配が存在しているということです。
評価が良くない作品では、この死の気配がないことが多く、重要な役割を果たしているなと感じました。
みなさんもぜひ、上のBS2を意識しながら映画を見ると、「映画ってよく見るとこうなっているんだ」と新しい目線で見ることが出来ると思います。
脚本を動かす黄金のルール
特に重要だと思った黄金のルールを3つ紹介します。
1.SAVE THE CAT の法則
この法則は、「主人公は、観客が出会ってすぐに好きになり、応援したくなるようなことをしなければならない」というものです。
つまり、主人公が置かれた状況に観客が最初から共感できるように気を付けるということです。
例えば、この本では『パイプ・フィクション』を例にしています。
この作品では、2人の主人公が薬物中毒で殺し屋というとんでもない連中であることがわかります。
これだとふつうは好きになれません。
そこで、2人をつい笑ってしまうような、無邪気でちょっとおマヌケなキャラクターとして描きました。
その結果、観客は思わず応援したくなり、悪い奴なのに共感してしまうのです。
2.回転、回転、回転
「回転、回転、回転とは、プロットの進行とともに加速し、勢いや動きを増しながら、あらゆる側面を見せよ、というルール」と言っています。
つまり、プロットをただ前進させるのではなく、進むにつれてテンポや複雑さが増していくということです。
プロットの前進とともに、「回転、回転、回転」して、キャラクターについての詳細や別の側面を見せる。
そして、クライマックスまでにテンポを上げて緊迫感を強くすることで、観客の心をつかむというものです。
3.松葉杖と眼帯
「登場人物にはそれぞれ、読者の心に焼きつくような見た目の特徴が必要なのだ」と言っています。
登場人物を区別するための目立った特徴があることで、印象が強くなり記憶しやすくなります。
その方法が松葉杖や眼帯を付けることです。
これが案外効果的で、印象的に残る作品にすることが出来ます。
目立った特徴があるかどうかのチェック方法は、登場人物の名前を隠して、セリフだけでだれかわかるかどうかが基準になります。
まとめ
この『SAVE THE CAT の法則』は、わかりやすく、初心者におすすめな本です。
今回紹介したことは、この本の一部の特に重要な部分でしかないので、気になった方はぜひ買って読んでみてください!
ちなみに、買う際は紙の方が記憶に残りやすいとされているので、紙の方を買うことをおすすめします!
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